里人 No.8 内田 雅史さん

農機に魅せられ
夢を叶えた農業少年

内田 雅史さん

界隈では有名な〝農業大好き少年〟の夢と
それを応援する地域の思いが形になった
『農事組合法人寺内農場』
大凡42ヘクタールの土地で米や大豆、そばを栽培している

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農業少年の夢

内田さんは幼い頃から祖父母や親の農業を身近に感じ、「将来は地元で農家になる」と夢見てきた農業少年だった。

小学生の頃から休み時間は校長先生とトラクターに乗り、繁忙期には終礼がなるが早いか学校を後にして田んぼに行く。
地元の中学校を卒業した後は、鳥取県立倉吉農業高等学校、鳥取県立農業大学校を卒業し『農業への道』を着実に進んでいった。

そうした内田さんの農業への夢をずっとそばで見てきた地元の人たちは、若い担い手の雇用体制を作るため、2002年に農事組合法人を設立した。
そして、大学校卒業後すぐに同法人に勤めた内田さんは現在作業課長を務めている。

「農機がかっこよかったから農業を目指すようになった。」そう話すさんは無類の農機好き。
特に海外製の農機は馬力も大きさも凄まじく、北海道で開かれる農機の展示会には毎年行くそうだ。

もちろん農機に乗りメンテナンスをするだけが仕事ではない。
作業計画、事務作業、従業員への指示などを統括する傍、地域の集まりごとへの参加や、同業者との交流も欠かせない。
農家にとっては当たり前かもしれないが、中学生以降ゴールデンウィークがあった記憶はなく、下手すれば除雪作業で年末年始がない年もあるほどの多忙さだ。

日々に追われる中でも今後の会社の方向性を考えながら、高齢化する社会と変化する時代の中で、常に農業の形に向き合い模索し続けている。

 

地域の人のあたたかさ

南部町のどういうところが好きか伺うと、「人が色々と〝ごしてくれる〟とこかな。」と話す内田さん。
近所の人が野菜をくれたり、困っていることがあったら助けてくれたりする、そんな人の温かさだ。
※ごしてくれる=くれる

そう思うのは、小さい頃から内田さんにとって地域の人たちが先生だったからだろう。

「機械は田住の吉持さん、農機の修理は北方の足井さん、土木の知識は三崎の唯さんから…そんな風にそれぞれの分野をその道の先輩である地元の人に教えてもらったんよ。」
そう話す内田さんの言葉からは、地域の人たちに育ててもらったという感謝の気持ちと、その期待を背負っているという責任感が感じられた。

人が人を育てる。地域の大人が子どもを育てる。

機械化が進み、インターネットさえあれば何でも調べられるような時代の中で、人から人へ、大人から子どもへと言葉や経験として伝わっていくものこそが本来のコミュニティーの形であり、田舎だからこそ残る強みなのかもしれない。

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